マイナス金利は誰のマイナスなのか。

前回、日本銀行が円を大量に刷って市場に出回るお金を増やすという話をしましたが、もう少し具体的な内容について書いていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

後半では、マイナス金利にも触れていきます。『マイナス金利って銀行に預けて置いたら損するってこと?』という疑問をお持ちの方も、少なくないと思います。実際はどういうことなのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日本で起きていることをもう少し掘り下げて見ていくことにしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず量的金融緩和政策について説明します。市場に出回るお金(マネタリーベース)を増やす政策を『量的金融緩和政策』と呼びますが、一般的に、民間の銀行等が保有する国債日本銀行が購入することでマネタリーベースを増やしていきます。(ちなみに国債以外もめっちゃ買ってます。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国債日本銀行に買ってもらった銀行は手元にその売却資金が残りますが、その資金を企業や個人に貸し出すことによって、新たな投資や消費を生み出そう!経済の好循環を創造しよう!というのが政府の目論見です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

しかし、実はこれ、あまり上手く行っていません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故か言うと、見方を変えると企業や個人が借入を発生させないと私たちが実際に使うお金は増えていかないからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまり、ここで重要なのは

 

企業が

『沢山借りて新しい設備投資をしよう!』

 

個人が

『住宅ローンで夢のマイホームを買おう!』

 

銀行が

『どんどん貸して景気を良くしよう!』

 

 

というマインドです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが、企業は設備投資には前向きになれず内部留保を貯め込むばかり、銀行は銀行で不良債権問題に苦しんだ悪夢を思い出し貸出に及び腰という状況です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『じゃあ、銀行は増えた資金をどうしてるの?』

 

 

 

という疑問が当然の様に生まれてくると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は、企業にお金を貸さないで利益を得る選択肢が銀行にはあります。それは、日本銀行へ預けて置いておくということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちが、銀行に預金をしておくと金利がつくのと同じで、民間銀行が日本銀行当座預金に置いておくと金利が貰えるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『破綻リスクのある企業に貸すより、ノーリスクで利子もらえる日銀当座預金の方が良いじゃん!』

 

 

 

 

 

と考えた訳です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「これはやばい。。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思った日本銀行が取った手段が皆さんがよく知る「マイナス金利」です。つまり、民間銀行が日本銀行に預けておくとマイナス金利分を払わなければいけなくなると言う事です。(預けた預金全てではなく、基準以上の預金にはマイナス金利を課すという内容です。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これなら、日銀の当座預金へ滞留せずに企業へ貸す資金も増えるだろう。と日銀は考えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マイナス金利政策以降、どうなったのでしょうか?

 

 


f:id:h-inoue54:20180604073325j:image

一般社団法人全国銀行協会:全国銀行預金・貸出金速報〉

 

 

 

 

 

 

 

2016年(H28)2月にマイナス金利が導入となりましたが、確かにデータ範囲のH28年4月以降前年同月比が概ねプラスになっているので増えていることは増えているようです。一方で、金利収益が縮小している中でこの伸び率だとやはり銀行が大変なことは変わりなさそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こう見ていくと、マイナス金利によって1番被害を受けているのは民間銀行なのではないかと思います。勿論、一般の方も金利はマイナスにはなっていないものの預金しても金利は僅かしかつかない為、影響を受けていることは間違いありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し脱線しますが、金利の話をする際に『72の法則』というのが出てくるのですが、皆さんはご存知でしょうか。72を金利で割ると何年で倍になるか簡易に計算出来るというものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えば、バブル期には定期預金の金利が6%(それ以上)もついてました。これを複利運用(受け取った金利分を使わずそれを含めて再度預ける)するとします。この場合の計算式は、72÷6=12となり、およそ12年で倍になるということになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同様に、近年の金利0.01%でも計算してみましょう。

 

 

72÷0.01=7200年。

 

 

 

西暦2往復する勢いですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上記の様な金利水準や年金水準を考えると、バブル前後で全く生きている世界が異なっていることに気づくと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうした環境でどうやってお金と付き合っていけば良いのでしょうか。次回以降は、日々の生活で出来る節税や運用について書いていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

アベノミクスの1/6

 『アベノミクス』という言葉が市民権を得て久しいですが、最近は森友問題ばかりで話題にもならないですね。賛否は分かれますが、アベノミクスは停滞していた日本経済を動かすという点で大きな意味があったと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

まず、アベノミクスを理解するうえで大切な言葉があります。「三本の矢」です。聞いたことがある人も多いかもしれませんが、以下の3つを指します。

 

 

 

 

一本目:大胆な金融政策
二本目:機動的な財政政策
三本目:民間投資を喚起する成長戦略

 

 

 

さらにその後、以下の「新三本の矢」を持ち出し計6本になりました。

 

 

 

 

四本目:希望を生み出す強い経済
五本目:夢を紡ぐ子育て支援
六本目:安心につながる社会保障

 

 

 

 

これだけだとさっぱり分かりませんね。

この中からテーマを絞って見ていきましょう!

 

 

 

 

 

 

 

余談ですが、この「三本の矢」というのは、毛利元就が3人の子どもに伝えたとされる『三本の矢の教え』からきています。三本まとめれば折れにくいということから、結束の重要性を説いたとされています。政策に関しては数が増えれば良いって訳ではなさそうですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、今回はこの6本の矢のうち一本目の『大胆な金融政策』について理解を深めたいと思います。アベノミクスの金融政策の内容というのは、様々なことを省略してざっくり言うと「市場に出回るお金の量を増やす」というものです。どうやって市場に流通するお金を増やすかというと、日本銀行が大量にお金を印刷することでお金を増やします。『異次元緩和』とか『黒田バズーカ』とか呼ばれるものがまさにそれです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お金増やしても一般市民へ配れらる訳ではないし、意味あるの?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思う方もいるかもしれませんが、ブログ第2回目の『インフレーション』や第3回目の『円安と円高』を思い出しながら考えて行きましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を遡ること約6年。

 

 

 

 

 

2012年12月に第2次安倍内閣が発足し、翌年の2013年3月、日本銀行の総裁に黒田さんという方が就任しました。その際に「消費者物価上昇率(インフレ率)を2%まで高める (前年と比べて2%物が高くなっている状況をつくる)」という目標を定めています。

 

 

 

 

 

 

 

 

このような目標を定めた理由はこれまでの知識から容易に想像できるかと思います。マイルドなインフレは好景気を生むと考えられているから、ですね!

 

 

 

 

 

 

 

目標達成の為に、日本銀行は今日に至るまで頑張ってお金を刷り続けてきました。市中に出回っているお金をマネタリーベースと言いますが、そのマネタリーベースは、当初約135兆円だったのに対し、現在は450兆円超となっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなに世の中のお金は増えているのに、私の財布の中身は全く増えていません。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

念の為、お金が増えるとインフレが起こる理由を説明します。

 

 

 

 

例えば、机の上に1万円札が置いてあり「自由にとって下さい。」と言われたら喜んで取ると思うのですが、もし1万円札が石ころにみたくそこら中に腐るほどにばら撒かれていたら同じ様に魅力的なものにはなりません。

 

 

仮に、今まで1万円で時計が買えていたとしたら「そんなどこにでも落ちてる1万円札で時計を買えると思わないで下さい、少なくとも100枚は集めて下さい。」なんて言われてしまいます。

 

 

 

100万回愛してると伝えたら、最後の方は雑音にしか聞こえないのと一緒ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、「為替」についても同様のことが言えます。[¥円]が大量印刷され価値が下がるので、海外の通貨に対して円安となります。第3回の考え方を当てはめれば[¥円]にスモールライトが当たり続けている状態です。円安になれば、海外から輸入してくるものの価格は高くなる為、インフレに寄与するということになります。

 

 

 

さらに、日本の輸出企業は円安によって業績が上がりそれに関連する国内企業も潤うこととなり、日本の経済は好転するという算段です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまり、景気を刺激する為、大量にお金を刷りインフレを演出しデフレを脱却。『円』を刷れば円安に向かうことから、インフレにも寄与するし、輸出企業が牽引することで日本の経済は明るくなる!このような青写真を描いたことでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それではここから、アベノミクスの棚卸しをしていきましょう。まだ安倍さんは就任中ですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、物価です。物価に関しては、まだ目標の2%を達成していません。最新の2018年度消費者物価指数の見通し(前年比)は+1.3%となっています。黒田総裁が就任した時に、2年で2%を目標としていましたから、かれこれ5年経っていますがまだ未達です。現状、期限については宙ぶらりんになっていますが、19年、20年の見通しを見ても2%には届かない予想です。日本人のデフレマインドは恐るべしですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次に、為替です。ドル円の為替レートを見てみましょう。2012年12月末のドル円の為替レートは、1ドル86.58円でした。そして2018年5月25現在のレートは109.58円ですので、26.5%も円安になっています。記憶が正しければ、この期間の間に最大1ドル125円まで円安になっていたので、44.3%も安くなっています。国内の物価は殆ど変わっていないので、ドルで資産を保有していた人は随分と良い思いをしていると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

企業業績はどうでしょうか。輸出企業の雄といえばトヨタですね。ちょうど2018年3月期の決算が発表されたばかりですが、最終利益が2兆4,939億円で過去最高額となりました。これは日本企業としての過去最高額にもなっています。取り巻く環境は楽観的ではないですが、2年ぶりの最高益更新です。日経平均株価の構成も、比較的為替の影響を受けやすい銘柄の寄与度(影響をもたらす度合い)が大きいのですが、その日経平均株価は2012年12月末に1万0395円でしたが、2018年5月25日現在で2万2,450円になっています。

 

 

 勿論、全てが為替の影響という訳ではなく企業努力の部分が大きいのですが、大手企業輸出企業の状況はアベノミクス以前に比べると良好な印象を受けます。そして、日経平均株価に連動する様な運用商品や該当銘柄を保有していた人は、資産が倍以上ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、GDP(国内総生産)と呼ばれる「国が1年間にどれだけ儲けたか」の水準は微増しているものの、直近の1月-3月期においてはマイナス成長を記録しています。手放しで喜べる状況ではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

このように見ると、恩恵を受けた人、そうでない人がはっきりしているような印象を受けます。それもそのはずで、安倍さんの経済政策は『トリクルダウン』という考え方に基づいていると言われています。

 

 

 

 

 

 

トリクルダウンとは、富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透するという理論です。グラスタワーの上からシャンパンを注いで順に上からグラスが満たされていくイメージです。

 

 

 

 

 

 

 

 

満たされていく途中なのか、そもそもこの理論は成り立っていないのか、議論が分かれるところです。私からすると、資産を持つ人、持たない人の間で差が開いた印象を受けます。個人の資産に関して言えば『株』『外貨』『不動産』等を持っていた人、持っていなかった人でこの数年の印象は大きく変わると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうした資産を保有する選択肢があるかないかは、間違いなく金融リテラシーの有無に関係していると考えています。

 

 

 

 

 

 

 

単純に 、『株』『外貨』『不動産』を持てば良いという訳ではなく、世の中の動きを捉えながら資産を選択する力が必要となります。

 

 

 

 

 

 

 

皆さんは、シャンパンタワーの何段目にいるでしょうか。

 

 

 

 

 

 

安くなってるのに円高っていったい。。

今回、アベノミクスについて書こうと思ったのですがその前に『為替』について書いていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

予告を裏切ってすみません。

 

 

 

 

 

 

 

 

ただアベノミクスを理解するうえでも大切なことなので、少しお付き合い下さい。

 

 

 

 

 

 

 

さて、為替については小学生か中学生あたりで一度は勉強してるのではないかと思いますが、すんなり理解できたでしょうか。恥ずかしながら当時私は『1ドル100円だったものが、90円になるが円高です。』と言われて『えーーー?!!安くなってるのに?!』と全く受け入れることが出来ませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

全く共感できなかったらすみません。

 

 

 

 

 

 

 

 

万が一私と同じように、「円安や円高」が頭へすんなり入って来ない人の為にオススメの考え方をお伝えします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず頭の中に1枚の[¥]と1枚の[$]のコインを想像してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでは、[¥]のコイン=1円、[$]のコイン=1ドルとして、この2つのコインが同価値として交換されているとしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『こないだの大統領選挙の結果を受けて円安ドル高になったね!』

 

 

 

 

 

 

という話題を振られたとします。そもそも、この話題を提供してくる奴センスないよね。というのはさて置き、ドルと円の関係がどうなるか考えていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初に、『高い』がついた『$』に、ドラ○もんのビッグライトを当ててください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうでしょうか。『$』が大きくなってきましたか。加えて、態度も大きくなっているとこまで想像できたらパーフェクトです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついでに『安い』がついた『¥』に、スモールライトも当てておきましょう。両者の大きさに随分と差がついてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで両者を交換しようと思ったときに大きくなった『$』が言います。

 

 

 

 

 

 

 

 

『もう俺は昔の俺じゃねぇんだ。なんで大きくなった俺と小さくなったお前が今までと同じ様に交換されなくちゃいけないんだよ!もっと¥を集めてこいよ!そしたら交換されてもいいぜ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

$が完全にジャイアンみたいになってしまいました。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仕方ないので小さくなった『¥』は仲間を呼んできます。5枚集まったところで、ジャイアンの許しが出て交換が成立しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまり、もともと$1と¥1で交換されていたものが、円安ドル高となったせいで、$1と¥5を交換しなくてはいけなくなったということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【$1⇔¥1】が【$1⇔¥5】に。

そう、これがまさに円安ドル高なのです!

 

 

 

 

 

 

 

 

端的に言ってしまえば『$(ドル)』の価値が高くなった為、それと交換する為に必要な『¥(円)』がより必要になったということなのですが、混乱したときにはビッグライトとスモールライトを当ててみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逆に混乱させてしまったでしょうか。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところで、『円高』と聞くとあまり良いイメージを持たないのかなぁと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

日本の産業構造を見ると、輸出によって利益を上げている大手企業が多い為に、円高になると大手企業が失速し、それに伴い国内の関連・下請け企業も失速となることから、円高イコール「悪」と認識されやすいのかと思います。大手輸出企業の裾野が広くその影響が大きいということですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

円高になると輸出企業は儲からないとサラッと書きましたが、なぜ儲からないのか説明できるでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

例えば、日本からアメリカへ自動車を輸出したとします。現地での価格を1万ドルにして販売を開始しました。1ドル100円の時に売れれば100万円、1ドル90円(円高)の時に売れれば90万円、1ドル110円(円安)の時に売れれば110万円となり、同じ価格で販売しているのに日本円で換算したときの売上が変わることに気づくと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 輸出企業にとって、勿論輸入企業にとっても為替は大変重要な問題ですし、海外の製品や食品を買う私たち消費者にとっても影響のあることです。為替の動きが見えてくると、経済の流れについても理解が進むかと思います。

 

 

 

 

 

ニュースでもドル円のレートを目にすることがあると思いますが、「なぜ円が売られてドルが買われているのだろう?」「円安ドル高になったら何が起こるのだろう?」「それによって喜ぶ企業は?」などなど、風が吹けば桶屋が儲かる方式で考えてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは、前回の『物価』と、今回の『為替』の知識をもって、次回こそアベノミクスとは何だったのか見ていくことにしましょう!

 

インフレとデフレ

 

 

 

例えば、りんごが1つ100円で売られていたとします。

 

 

 

 


明日には110円になるとすると、極端ですがこれはいわゆるインフレーションの状況です。逆に、90円になっていたとするとお分かりの通り、デフレーションです。

 

 

 

 

 

つまり、『物の価格』=『物価』がある期間において上昇する現象をインフレーション(インフレ)、下落する現象をデフレーション(デフレ)と呼びます。

 

 

 

 

 

私達消費者からすると、待てば待つだけ価格が下がるデフレーションの方が良いような気がしますが、「景気を良くしたい」人たちにとってはあまり都合の良いものではありません。

 

 

 

 

 


なぜなら、明日90円、明後日80円と価格が下がっていく場合、待てば待つだけ安く買えることになるので『もうちょっと安くなってから買えばいいかな。』と考える人が多くなります。そうなると、消費が促進されない為、景気が良くならないと考えられています。

 

 

 

 

 

 

私が物心着く頃にはバブルが崩壊しており、長引く不景気、いわゆる「失われた10年」「失われた20年」に突入していった訳ですが、この期間においてはデフレーションの状態が続いていました。

 

 

 

 

 

 

ですから、売れないものが『10%割引』『20%割引!『半額!!』となっていることはあっても、価格が上がるなんて考えたこともありません。何か買いたいものがあっても『もう少し待って、安くなってから買おう。。』というのが当たり前になっています。先述した通り、これでは誰もお金を積極的に使いたがらないですし、企業も利益を上げるのが大変です。

 

 

 

 

 

 


これとは反対に、インフレーションの状況では、明日110円、明後日120円と価格が上がっていく為『早く買わないとどんどん高くなってしまう!よし、今日買うしかない!!』となり、消費が促されます。バブルの時代がまさにこれです。

 

 

 

 

 

 

 

 

バブルの時代には「土地転がし」が盛んでした。平野ノラさんの「土地と男を転がすわ!」にもありましたね。簡単にいうと、安く買った土地を高く売ることですが、物の価格=不動産の価格がどんどん上がっていた為、今よりずっと容易に転がすことができたでしょう。長年、不動産仲介業を営んでいる方から聞いた話ですが、午前に買った土地を、午後には価格を上乗せして売却した人もいるそうです。転がしていた人も不動産屋さんもさぞ儲かったことでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

もう死語になってしまいましたが「土地神話」という言葉の通り、誰もが土地の価格は上がり続けると信じて疑わなかったからこそ、消費が促され、価格が上がった訳です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまで見ると、

 

 

『じゃあ、結局インフレの方がいいんじゃないの?』

 

 

 

 

 

 

 

と思う方も多いかもしれませんが、物価の上昇と不景気が共存する“スタグフレーション”という現象も起こりうる為、どちらが良いのかというのは一概に言えません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも、デフレ状態をインフレにすれば景気が良くなると考える人は多くいて、リフレ派なんて呼ばれたりします。安倍首相もそのひとり(と言われています。)で、マイルドでトレンディーなインフレを起こして景気回復を実現しようとしています。いわゆる「アベノミクス」ですね。

 

 

 

 

 

 

 

次回は、アベノミクス前後で何が変わったのか書いていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、個人的な意見ですが、日本は社会として成熟していますし人口も増える見込みが無い為、インフレを定着させて好景気を生み出すのは難しいと思っています。一方で、世界に目を向けると人口は増え続け、これから日本のバブルの様な経験をする国も沢山あると思いますが、資源はいつまで持つのでしょうか。

 

ともすると、デフレで好景気を実現する為の施策の方が世のため人のためになる気がしています。「じゃあ、具体的なアイディア出せよ!」と言われてしまいそうですが。。

 

 

 

 

それは宿題にさせて下さい。

 あとトレンディーなインフレは冗談です。

 

 

お金は汚い?


「お金とはきれいなものか?汚いものか?」

 


随分と前になるかと思いますが、上記の質問を全国の中学生・高校生にした結果が日経新聞に掲載されていました。記憶が正しければ、約8割が「汚いもの」と答えていたように思います。

 


確かに、「お金」と言うとイメージは良くないのかもしれません。

 

 

だいたいお金持っている人はメディアで叩かれますし、ドラマや映画でも友情とお金を天秤にかけてお金を選んだ人には天罰が下ります。就職活動における志望理由でも「給与が高いから」はけっこう嫌われます。
、、、イメージ偏りすぎでしょうか。

 

 

ただその一方で、多くの人がお金を必要としているのもまた事実だと思います。あるアンケート「欲しいものランキング」で、暖かい家庭や恋人、親友を抑え、お金が1位にランクされているのを目にしました。日々のニュースにおいて人の命よりお金を優先することによって引き起こされる事件の多さを見れば、その魅力は絶大であることが分かります。

 

 

ともすると、この汚いけれど人生において必要な「お金」とは、どう付き合っていけば良いのでしょうか。


クラスに好きな人がいるけど、「好き」って言ったら全員からバカにされるというジレンマを抱えた中学2年生の夏を思い出します。

 

 

 

 


・・・・。

 

 

 


話を少し変えます。
私事ですが、昨年の10月を以って、約6年務めた銀行を辞めました。

 

 

辞めてからは全く別の業界にいる為、金融との関わりも勉強の為に投資している暗号通貨くらいしかありません。蓄積した知識・スキルは日毎に劣化していますが、その一方で辞めてからというもの


『お金のことで相談したい!』


という話をよく頂くようになりました。
確かに、銀行員のうちは色々と商品を勧められる可能性が高く相談しにくいですが、元銀行員になればその心配も無くなります。

 


そこで思い付きました。

 


「お金との付き合い方(金融リテラシー)」について「限りなくフラットな立場」から発信できるチャンスだと。そんな経緯から記事を書くことへチャレンジすることを決めました。

 

 

 

 

 

 


インフレーションとデフレーションって何なの?良いの?悪いの?


アベノミクスって結局なんなの?


年金ってどうなってるの?


運用した方が良いの?節税って何ができる?便利な制度・商品ないの?


住宅ローンの変動金利と固定金利どっちが良いの?

などなど。

 

 

 


金融・経済というと難しいと思うかもしれませんが、少ない知識の中で可能な限り分かりやすく伝え、日々の生活に落とし込んで発信するよう努めます。

 

 

 


1人でも多くの人が、「お金=汚いもの」ではなく、お金との付き合い方に関心を持ってくれたり、金融や経済を知りたいと感じてもらえたら、、、そしてこの拝金主義が色濃くなる社会において、最適なお金との付き合い方を見つけて貰えたら嬉しいです。

 


ちなみに、私自身も「お金とどう付き合えば良いのか?」という問いに答えを出せずにいます。ただし「とりあえず沢山お金を稼げば良い」と言うのは、自分にとって無理だし不毛だなと思っています。恋愛でいうと「とにかくイケメンになれば良い」という発想と似ています。

 


むしろ楽しさのその先に、お金が沢山あれば有難いですし、なければその中でどう楽しむかを考える必要性を感じているこの頃。勿論、不足があってはいけないので、その為にもお金について学び人生を送っていきたいと考えています。

 

 

 


みなさんは、どう考えますか?